アーユルヴェーダは、歴史ある医学でありながら、我々の生活に密着した医学でもある。
前項で書いたように、私たちが本来持っている自分のVital energyのバランスを知ることで、どんな季節、食べ物、生活習慣に気を付ければいいかが見えてくるのだ。
1⃣ 病気の予防
2⃣ 病気の治癒
アーユルヴェーダにおける目的は以上のように記載されているが、最も重要視されているのは、やはり1⃣なのだ。
さらに、私がドクターと一緒に過ごす時間で気づいたのは、心(マインド=Manasa)のあるべき状態の重要性だ。
日本人は特に❝不要な❞ストレスを抱えている人が多いと、ドクターはよく言っていた。
メンタルはVata(ヴァータ)のエネルギーに影響を与えるとされているが、Vataは、このVital energyの中でもマスターと呼ばれるほど、強い影響力を持っている。
そのため、Vataの治療は他の治療よりも、根気が必要だと聞いたことがある。
ドクターの心(マインド=Manasa)のレッスンは、ほかのレッスンよりも印象に残るものだった。
レッスン中、いくつかのアドバイスを挙げていたのだが、今でもこれだけは忘れられない。
❝1日10分でもいいから、自然を感じなさい❞
一人になって、自然の中に身をおき、目を閉じ、風を感じ、自然を肌で感じるということ。(近くに何もなければ、木を触るだけでもいいらしい。)
これは、人間はこの宇宙の一部であり、単体として存在しているのではないということを教えてくれる。
アーユルヴェーダにはこうした理論がある。
時に我々人間は、傲慢でこの世界を制しているかのように錯覚しがちだが、我々もこの宇宙により生かされている。
アーユルヴェーダとは、そんな当たり前のことを教えてくれる医学なのだ。